まだ鼓動がうるさい。
俺は暫くの間、絵の前で呆然としていた。
何か思い出せそうなのに思い出せない。
このループの繰り返し。
『あーもうっ!なんで俺忘れてんだよ!!』
頭を掻きながら苛立ちを声にした。
と、その時、
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ガラッ!と勢いよく駄菓子屋の戸が開いた。
俺の体はビクッとなり逆光の中、誰かが覗く影が見えた。
『あんたなに1人で騒いでんの?』
それは見知らぬ女の人。
多分通りかかったら声がして、思わず戸を開けたんだろうけど………誰だろ、この人。
『それにしても随分古そうな店ね。へぇ、駄菓子屋なんだ。ってこれあんたの記憶?』
何故かペラペラと女の人は話し続ける。こんな昭和っぽい店が珍しいのか俺を無視して店内を一周していた。
その人は焦げ茶色の髪色で、背はモデルのように高かった。こんな人今まで見た事ないな………。
俺がジーっと見ているとバチっと目が合ってしまった。
『なに?あたしに一目惚れでもしたの?』
『え"………し、してません!』
『ほぉー。即答するとはいい度胸じゃないの』
その人はそう言って、俺の顔に近付いてきた。
それは息がかかる程の至近距離。