周りの住人達は各々ゲームをやってたり、
漫画を読んでたりして俺には見向きもしない。
『………本題?』
『ここならゆっくり話せるだろ?』
カシワギの目付きが変わった。
ここは九番街でカシワギの縄張り。
周りは全員カシワギ組で、まるで蜘蛛の巣に引っ掛かってしまったような気分だ。
それに……いつも助けてくれるリーダーはいない。
俺は今更ここに来た事を後悔していた。
『邪魔者はいない、それにここは俺の縄張り。
お前はもう逃げられないぜ』
カシワギがニヤリと口角を上げた。
『に、逃げねーよ……!!』
俺はグッと拳を握りしめた。
逃げない、逃げない。
この世界から出る為にはカシワギは避けて通れない
…………………そんな気がする。
だから今この瞬間も逆に利用してやる。
俺はカシワギの目を見て強くそう思った。
『お前はこの世界から出たい、そうだろ?』
カシワギが核心に触れるように切り出した。
そうだけど………俺はチラッと周りを気にした。
少人数とかいえ、あまり聞かれたくない。