『そんな事言うなよ』
自然に溢れてしまった言葉。
シオリの驚く顔を見ながら俺はグッと感情を押さえた。
俺は施設で育った事もないし、
親に捨てられた事もない。
だからシオリの気持ちを理解してあげる事は無理だと思う。だけど………………
『なんで産んだの?なんて言うなよ。それじゃまるで………生まれて来なきゃ良かったって言ってるみたいじゃん……』
俺の精一杯の言葉。
でしゃばった事を言ってるって自分でも分かってる。でもシオリが胸の内を話してくれたから、
俺は今思った事を言う。
『…………俺、よく分かんないけどさ………
シオリを捨てていった事は恨んでもいいと思う。
でも………産んでくれた事は恨んだらダメ……だよ』
『………』
『だって、産まれてきたからこうして会えたじゃん。俺達』
黙って聞いていたシオリは『うん…』と小さく返事をした。その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
本当は言った後、少しだけ後悔していた。
偉そうに言い過ぎただろうか………。
でも今思った事、感じた事をすぐに言葉にしないと、もう2度と言えないような気がして。



