「近未来少年少女」





親に捨てられたって…………。

俺は突然の事で動揺していた。シオリに何て言葉を返したらいいのか分からない。


『そんな顔しないでいいよ。
私だって捨てられた記憶ないし』


『……どういう事…………?』


『私の親は産んだばかりの私を施設の門の前に置いて行ったの。たった1枚の紙だけ残してね』


『…………紙?』


『【この子の名前はシオリです。宜しくお願いします】その言葉だけ残して私を捨てたんだよ』


俺は信じられない事実に言葉が見つからなかった。
さらにシオリは話を続けた。


『だけど生まれた時から施設にいたから、不思議と寂しいって思う事はなかった。でも………』


シオリがギュッと服を握りしめた。


『…………でも、どうしたの?』


『1度だけ私の母親だと名乗る人が施設に訪ねてきたの。すぐに帰っちゃったけどね』

シオリはその時の光景を思い出すように、眉間にシワを寄せた。



『その人が私の本当の母親だったかは別として、
その時始めて今までになかった感情が私の中で芽生えた』


『感情……?』


『生まれてすぐ捨てるなら、
どうして私を産んだのかって………』


シオリの胸の内にこんなにも深い悲しみがあったなんて……。

俺はどうする事も出来ず、ただ話を聞いてあげる事しか出来ない。でも、

でも………………………。