夕凪は私の背中を押して後ろを通り、教室に入る。
机を探り、バイク雑誌を取り出している。
忘れ物とは、その雑誌のことなのか…
ポケットからミニバイクのキーを出して、手の中で遊ばせている。
私達がいる側は、前のドア。
夕凪は後ろのドアから出て、玄関に向け廊下を歩き出す。
本当に雑誌一冊を取りに来ただけで、帰ろうとしていた。
体育祭に参加してくれると、ほんの少しだけ期待してしまったことで、
さらに落ち込んでしまう。
夕凪の背に、上條君が言う。
「いつまでも、そうやっていじけてろ。
潮音ちゃんは、俺がもらうから。
お前みたいなガキに、彼女はもったいない」
夕凪は足を止めた。
肩越しに振り向き、冷たい視線を向けた。
「勝手にすれば。
俺は、潮音なんか…嫌いだ」


