上條君は私の手を取り、指を絡ませ、
恋人つなぎで握ってくる。
「上條君… あの… 手を…」
「小さい手だね、可愛い。
女の子の手は、柔らかいんだな…」
手を繋ぎ、二人で教室のドアを塞ぐように立っていると、
「邪魔」
後ろに、不機嫌そうな声がした。
夕凪がいた。
クラスのTシャツではなく制服姿で、
ズボンのポケットに手を突っ込み、上條君と私を睨んでいた。
慌てて手を振り解こうとしたが、上條君が許してくれない。
しっかり繋いだ手を夕凪に見せつけるように、顔の高さに持ち上げる。
上條君が言った。
「怖くて逃げ出したと思った。
来たからには、走れよ。
大差で勝ってやる」
夕凪が切れ長の瞳を狭める。
嫌そうに、上條君を見て言った。
「勝手に言ってろ。
勝負なんかしねぇ。
忘れ物取りに来ただけ。
すぐ帰る」


