夕凪に恋していると、父に言ったことはない。
それでも父は分かっているみたい。
私達を見守る目は優し過ぎて、
つい甘えてしまいたくなる。
父にギュッと抱き着いた。
「お父さん…
私と夕凪、元の仲良しに戻れるかな…」
父は私を抱きしめ返して、力強く励ましてくれる。
「戻れるさ!俺の娘は世界一可愛いからな!
こんなに可愛い潮音を、いつまでも放って置けるもんか。
そうだ、歌ってやろう。
作詞作曲、お父さん。
タイトルは“海辺のラブリーガール”
青い海に〜かわいこちゃんが一人〜それは俺の娘〜……」
父のヘンテコな歌に、笑ってしまった。
母が聞いたらきっと、
「ケンちゃん、やめて!」
と怒るだろう。
母は結構ヤキモチ焼き。
こんな風に父が私を可愛がるところにも、妬いてしまう。
娘から見ても、微笑ましいカップル。
私って、素敵な二人の間に生まれたのだと感じ、
改めて幸せに思った。
夕凪は、波に挑み続けている。
私の目には、やっぱり夕凪のサーフィンは美しく映る。
自然と笑顔になっていた。
私達は、きっと元に戻れる…
父のお陰で、今だけはそんな気持ちがしていた。


