涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


父が私の肩を抱いたまま、夕凪のサーフィンを見ている。



「あいつのライディング、最近変わったな…」



そんな感想を言った。



私には、特に変化は感じない。


毎日見ているから変化が分からないのか、

それともプロサーファーの父にしか、分からないのか…



気になって、父に聞いた。



「どんな風に変わったの?

私には、いつも通り綺麗だと思うけど…」



「綺麗か。潮音は女の子だから、そう見えるんだな〜

夕凪のライディング、最近ずっと荒れてるよ。

技の一つ一つは上達していても、波と話していない感じがするな」




波と話す…?

意味が分からなくて、不思議そうな顔で父を見た。


父は赤茶の髪を揺らして、少し笑った。



「夕凪は、無理やり波に言うこと聞かせようとしている。

自己チューな波乗りだな。


ほら、あそこで無理やりリッピングするから、波に弾かれた。

プロの道はまだ遠いな〜


もっと波の気持ちを感じて乗らないと。

潮音の気持ちもな…」