涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


一番端まで行くと、海面からの高さは3メートルもある。


助走を付け海に飛び込む遊びを、小さな時は良くやった。


私はそのままザブンと飛び込むだけだけど、

夕凪は空中で一回転したり、曲芸みたいに上手に飛び込んだ。



この船着き場は、小さな私達がよく遊んだ場所。



そして今は…

夕凪のサーフィンを眺めるのに、最適な場所になっていた。




ひんやり冷たいコンクリートに腰を下ろし、足を垂らす。


波しぶきが、裸足のつま先を掠めた。



ここは目立つ場所だから、
夕凪は私がいることに気付いているだろう。



それでも彼は、
今日も私を無視する。


ただ黙々と、波に挑むだけ。



小さな溜息を漏らした。


今朝の夕凪は、随分と海に入るのが早い。


4時から入り、きっと6時過ぎまで波乗りするつもりだろう。



私の頭の中には、今日の体育祭があった。


2時間海に入れば、クタクタになる。

長距離走では、力が出せないだろう。



やっぱり夕凪は、上條君が挑んだ勝負を、意識していないのだと感じた。