上條君が腕に力を込める。
ずぶ濡れの私を抱きしめているから、
きっと、彼のワイシャツも濡れてしまったと思う。
上條君の気持ちが、苦しかった。
恋って…難しいね…
私も、上條君も、宮田さんも…
一方通行の想いは、どこへ行けばいいのだろう…
廊下がザワザワと騒がしくなった。
授業開始の本鈴が聞こえた。
5時間目は生物。
移動教室で、クラスメイト達がこっちに来ることを思い出した。
バタバタ走る足音が近づいてきて、
目の前の廊下を、クラスメイトが走って行く。
そこには、だるそうに歩く夕凪の姿も…
走る生徒達は、水飲み場の私に気付かず行ってしまったが、
夕凪は…
私を見つけてしまった。


