宮田さんが、上條君の腕を振り払った。
目に涙を溜めて、叫ぶように言った。
「何やったか、分かってるよ!
虐めてたの!朝比奈さんを!
仕方ないじゃない!
上條が好きなのに…こっちを見てくれないんだからっ!!」
宮田さんの目から、大粒の涙がこぼれていた。
好きな人に気持ちが届かないのは、何て悲しいことなのだろう。
泣いている彼女が、自分と重なって見えた。
夕凪に拒絶され、泣いている自分と…
上條君は宮田さんの気持ちに、初めて気付いたようだ。
怒れなくなり、唇を噛み締めている。
宮田さんが綺麗な髪をなびかせ、走り去った。
他の5人も、それを追うように逃げて行った。


