涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


「やめてっ!上條君、違うの!

これは…えっと…遊んでいただけで、

暑かったから、その…水遊びを…」




そんな言葉で、ごまかせるはずはなかった。


それでも何とかしたかった。



私には、宮田さんの気持ちが良く分かる。


私だって、夕凪に他の女の子が纏わり付いたら、嫌だと思う。



宮田さんが私を憎む気持ちを、分かってしまう。


それから…

彼女が今、上條君に怒鳴られ、恐怖と悲しみの中にいることも…




苦しい言い訳で、必死にごまかそうとしていると、

宮田さんが小さく笑った。



上條君は宮田さんの胸倉を掴んだままだ。



「何笑ってんだよ…
お前、自分が何やったか分かってないのか?」



彼が宮田さんだけに言うのは、サッカー部のマネージャーだからだろう。


同じ部活だからこそ、許せないという目をしている。