涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


彼女は長い黒髪を下ろし、パッチリした目をした可愛い女の子。


話しをしたことはないけど、顔は知っている。



サッカー部の1年生マネージャーで、

名前は確か、宮田さんだったと思う。



サッカー部の連絡なのか、彼女は時々うちのクラスに顔を出す。


上條君を呼んで話しをしている姿を、数回見たことがあった。



立ち上がり、宮田さんの方へ行こうとする。


加奈が私を引き止めた。


耳元で言われたのは、こんな言葉。



「潮音、いい予感がしないよ…行かない方が…」



私もそんな気がしていた。


宮田さんの口元は笑っているけど、目が笑っていない。


私を呼ぶ声も、どことなくトゲがあるように感じる。