上條君は明るく爽やかで、クラスの中心的存在。
人気者の彼が、どうして地味な私を好きになったか分からない。
他にお洒落で可愛い子が、沢山いるのに…
上條君に困っているのは確かだけど、
やっぱり私には、ハッキリ意見する勇気がなかった。
それに、まだ大丈夫だとも思っていた。
私は一人じゃない。
心配してくれる友達がいる。
虐められている訳じゃないから、大丈夫。
加奈にそう説明して笑顔を向けた。
それから話題を別のことに移した。
父が早起きして作ってくれたお弁当を、楽しく食べたいと思っていた。
ちょうど食べ終えた時、誰かが私を呼んだ。
振り返ると、教室入口で、他クラスの女子が呼んでいた。
「朝比奈さん、ちょっと話しがあるんだけど」


