平和なお弁当の時間は、加奈と二人が一番安らぐ。
父のキャラ弁“森のくまさん”に、ホッとした笑みを向けると、
加奈が言った。
「潮音、今日はリラックスしてるね。
上條君に困るって、言った方がいいんじゃない?」
「うん… そうだよね…
でも… 上條君いい人だから、凄く言い難い…」
加奈はタコさんウインナーを口に入れ、少し考える。
言い難いと言った私の気持ちを、考えてくれたようだ。
「言い難いよね。うん、それは私も分かるよ。
自分の意見をハッキリ言えないのは、私も同じだから…
でもね、このままだと潮音が他の女子に睨まれそうで、心配…」
加奈は少し垂れた目尻を、更に下げて心配してくれた。
他の女子には、既に睨まれている。
上條君と話しをする度に、女子の視線が痛くて…
彼の人気を、改めて感じていた。