「ごめんなさい…」



小さくなって謝ると、彼は困った顔して笑った。



「謝られると、困るな。

潮音ちゃんは悪くないんだ。

分かっているのに、少しだけ傷付いたから…

こっちこそゴメン、ハハッ」




友達の少ない私にとって、こうして上條君が話してくれるのは嬉しいこと。


嬉しいけど…

その反面、困ることもあった。



夕凪狙いなのかと噂されたばかりなのに、

今度は上條君狙いなのだと…


クラスの大半の女子は、私を良く思っていないと知っていた。



そんなこと、考えていないのに…


黙っているばかりで反論しない私は、

当然のことながら、皆に理解して貰えない。




 ◇◇



昼休みになった。


机をくっつけて、加奈とお弁当の準備をした。



今日は上條君が「入れて」と来なかった。


サッカー部の男子が誘いに来て、お弁当を手にどこかへ行ってしまった。


それにホッとしていた。