涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


ゆらゆら波打つカーテンが、涙に滲んでぼやけて見えた。



どうしたら夕凪が許してくれるのか分からない。


もう無理なのだろうか?


この先ずっと、夕凪に嫌われたままなのだろうか?



胸が苦しくて…

辛い……




「夕凪…」



涙声で呟いた声が、静かな教室に溶けて行く。



その時、カタカタとドアが開けられた音がした。



驚いて顔を上げると、さっき会ったばかりの上條君が立っていた。



時刻は16時40分。

部活は終わったみたい。


彼はジャージから、制服姿に変わっていた。



上條君は真っすぐに私を見ていた。


さっきとは違い、笑いのない真面目な顔して私を見ていた。



私は…

夕凪の席に座っているのを見られて、

恥ずかしくて俯いた。



立ち上がることはしなかった。


今更慌てても、遅いと分かっている。


心を上條君に、見透かされた気がした。