涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


その温かな光に誘われて、夕凪の席に近付いた。



椅子を引いて、座ってみる。


机の表面を撫でて、そこに頬を当ててみた。



昼休みのことを思い出していた。


夕凪に、キスされそうになった時のことを。



意地悪でキスしようとしたのに、
どうして途中でやめたのか…



悲しむ私の気持ちを考えてくれたからだと思いたいけど、

違うよね…



大嫌いな私なんかとキスしたくない。

そんな風に思い直したせいかな…




夕凪と元に戻りたくて頑張った。

結果は、ますます怒らせただけだった。


“嫌い”から“大嫌い”に変わってしまった。


もう、どうしていいのか分からない。



夕凪の机に頬を付けて、風に揺れる白いカーテンを見つめていた。



ゆらゆら波打つカーテンに、

海を背景に笑っていた、かつての私達の姿を重ねた。



素潜り対決したり、飛び込みしたり、貝殻を拾ったり…


楽しい思い出が、たくさん詰まっているはずなのに、

今は思い出しただけで悲しくて、涙が出てくる。