涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


急いだけど、間に合わなかった。


乗る予定のバスは、私を置いて行ってしまった。



仕方なく、もと来た道を引き返す。


学校で1時間半、次のバスまで時間を潰すしかなかった。




校舎に入る。


部活動以外の生徒はほとんど帰り、廊下は人が少なく静かだった。



私のクラスは、一階廊下の真ん中辺りにある。



中に入り、ドアを閉める。


誰もいない教室は淋しげで、いつもと違う表情をしていた。



窓の一つが、少しだけ開いていた。


そこから小さく、吹奏楽部の演奏が聴こえてくる。



曲名は分からない。

スローテンポの、
淋しいメロディー…



窓には白いカーテンが引かれている。


カーテンの隙間から夕陽が入り、

窓際の夕凪の席に、オレンジ色の帯を引いていた。