折角の父の力作が、無残な姿になる。
埃にまみれて、もう食べられない。
夕凪が立ち上がった。
呆然とする私の腕を引っ張り、立たせて、
力任せに壁に押し付けられた。
目の前には鋭く睨む、夕凪の顔。
壁に腕を突き立て、逃げられないように私を囲い込む。
形の良い唇からは、怒りと共に、私を傷付ける言葉が飛び出してくる。
「俺、話しかけんなって言ったよな?
何なんだよ、お前は…
勝手に、何もなかったように振る舞いやがって…」
何もなかったなんて、
そんな風に思ってないのに…
何かあったから、元に戻ろうと頑張っているのに…
夕凪が余りにも怖い顔して睨むから、涙目になってしまう。
震える声で、必死に伝えたい言葉を口にする。


