涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


拒絶されているのを、ヒシヒシ感じる。


心がズキズキ痛むけど、
精一杯明るく笑いかけた。



夕凪は私をいない物として、

コンビニのレジ袋からパンを取り出し、珈琲と一緒に普通に食べ始めた。



「私もここで、お弁当食べるね」



無視する夕凪に負けじと、
隣に腰を下ろした。



お弁当の包みを開ける。

今日も父特製のキャラ弁が姿を見せた。



今日のテーマは、人魚姫。


カラフルなフリカケの鱗をつけた人魚が、

野菜やウインナーで出来た魚達と戯れている。



それを夕凪の前に出して、言った。



「見て!お父さんの力作、今日も凄いでしょ?

そうだ!夕凪のパンと取り替えっこしようか?


夕凪いつもコンビニのパンだから、たまには栄養あるお弁当を…」



そう言いながら、夕凪のパンを取り上げ、お弁当箱を押し付けようとしたら…


手を払われた。



「あっ…!」



お弁当は手から離れ、階段を転がり、

人魚姫が飛び出してしまった。