夕凪はまだ私を避けている。
話しかけても、大抵は無視される。
そんな関係で、一緒にお昼を食べようなんて無理がある。
尻込みする私に、加奈はハッパをかけた。
「頑張るって言ったじゃない!
諦めないんでしょ?
ほら、早く!
貝原君、教室出て行ったよ?
追い掛けないと!」
手芸部の皆とお昼を…
それも理由かも知れないが、
加奈が一緒のお昼を断った一番の理由は、きっとこれだと思った。
私に行動させるために、考えてくれたのだと気付いた。
応援してくれる優しい友達に背中を押され、
私は駆け出した。
教室を飛び出し、廊下をキョロキョロ見渡す。
夕凪の目立つ金髪が、階段の方へ消えるのが見えた。
それを追って、走り出す。


