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想い出のドロップに勇気を貰い、
翌日、思い切って夕凪に話しかけた。
朝のホームルーム前、夕凪は一人、バイク雑誌を見ている。
夕凪の机の前に立ち、
「おはよう」と声をかけた。
緊張で手が汗ばんでいた。
顔は真っ赤で、胸はドキドキ煩かった。
夕凪は驚いた顔して私を見たが、それは一瞬だけ。
何も言わず、視線を雑誌に戻し、無視しようとする。
夕凪よりも驚いていたのは、クラスメイト達だ。
同じ中学で本当は仲がいいと、
一時噂されたが、
その話題はすぐに消えた。
会話のない私達に、その噂は嘘なのだと、クラスメイト達は結論づけていた。
私は真面目で大人しい。
夕凪は外見上、不良っぽい。
二人は別の世界で生きている。
そんな風に見えるのに、
突然私が夕凪に話しかけたから、教室はザワザワと騒がしくなった。


