涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


夕凪の部屋をノックした。

中から返事はない。


「入るよ?」

そう言ってから、ドアを開けた。



夕凪は壁を向いて、ベッドに横になっていた。


部屋は暗く、ベッドライトだけが小さく灯っていた。



「寝てるの?」
そう聞くと、

「起きてる」
と返答があった。



ベッドの端に腰掛ける。

さっきの雑誌は特集記事を開いた状態で、ベッド上に置いてあった。



それを手に取り、読んでみた。


義足のサーファーは、丸台明人という男性で、

雑誌掲載時の年齢は、32歳だった。


仕事中の事故で左足を失ったと書いてある。



波に乗る彼の姿が、カラー写真で載っていた。


確かに義足だった。


波しぶきが高く上がり、力強いライディングを想像させた。



素直な感想を言う。



「優勝だって!
丸台さん、凄いね!」



「ん……」



「夕凪もできるよ!
久しぶりのサーフィン、楽しみだね!」