頭上に、呆れた溜息が降り注ぐ。
冷たい声で、こう言われた。
「あなた、本当に夕凪のことが好きなのかしら?
東京と田舎、重傷の夕凪にとってどちらがいいのか判断できないの?
全く呆れるわね。しょせん高校生の恋愛ごっこよね。
その程度の気持ちなら、距離が離れたらすぐに忘れるわ。
若いんだから、あなたはもっと沢山恋愛しなさい」
下げていた頭を持ち上げた。
悔しくて涙目になっていた。
私と夕凪は、恋愛ごっこじゃない。
離れたら、お互いに息ができなくなるほど苦しむのに。
すぐに忘れるなんて、勝手に決め付けないで欲しい。
心の中は、否定したい気持ちで一杯だった。
それなのに蔑む視線を浴びると、上手く言葉が出てこない。
何て言えば伝わるのか分からず、
悔し涙をこぼすしか出来なかった。


