涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


おばちゃんと少し世間話しをしてから、

お目当ての駄菓子に手を伸ばす。



透明のプラスチックの浅い箱を開けると、小麦粉が敷き詰められている。


そこに埋まるように入っているのは、色とりどりのキャンディ。



箱の側面におばちゃんの手書きの文字で、

“キャンデー ドロップ”
と書かれていた。



私が選んだのは、青いドロップ。

いつもこればかり。



サイダー味の大きな飴玉は、口に入れると頬っぺがポッコリ膨らむ。


値段は昔も今も、一個10円。



おばちゃんに10円を払い、
指で摘んで、小麦粉を吹いて落とす。



その場で口に入れると、懐かしい爽やかな甘味が口に広がった。