涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


「これから息子のことは、全て私が面倒みるから大丈夫よ。

あなたはもう、ここに通わなくていいわ。

あなたも高校生よね?
学校はきちんと行かないと駄目よ」




息子の面倒は私がみる……
それは具体的に、どういうことだろうか?


病院近くに住んで、入院中の面倒をみるということだろうか?



それなら、いいことだと思う。


夕凪が頑なに心を閉ざすのは、
愛情に飢えていることの裏返しな気がする。


入院を機に母親と距離が縮まるなら、夕凪にとっていいことだろう。


お世話をしたい私には、淋しくもあるけど。



母親の言葉をそう解釈し、コクリと頷いた。


一方夕凪は、眉間にシワを寄せる。



「仕事はどうする気ですか?
いつまでもこの町にいたら、東京の家族も困ります。

俺はそこまでしてもらうつもりはないので。

事務手続きをしたら、もう帰って下さい」