涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


切りかけの梨は片付けられ、有名店のプリンが箱ごと出てきた。



私の背中に冷汗が流れる。

今度は夕凪が言った。



「俺、プリンも嫌いです」



夕凪はゼリーもプリンもヨーグルトも食べない。

小さい頃は食べたのに、成長すると食べなくなった。


アイスクリームや珈琲ゼリーは、
少しなら食べる時がある。



夕凪は箱ごとプリンを手に取り、
私に渡す。



「潮音、食っていいよ。
プリン、好きだろ?」



「うん……」




チラリと母親を見ると、ベッドの向こう側からやっぱり私を睨んでいる。



悪いことした気持ちになり、
小さくなって俯いた。