涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


布団を跳ねのけ、飛び起きた。



違う。
夕凪は大丈夫なんかじゃない。


夢を失って、
大丈夫なはずがない!



帰ったばかりなのに、家を飛び出しバス停に走った。


私はなんて馬鹿なのだろう。

夕凪を一人にしてはいけなかったのに。



夕凪の目はどこか虚ろだった。


平気そうに見えたのは、ショックが大き過ぎて感情を出せなかっただけ。


本当は、心の中は、
泣き叫びたい気持ちで一杯のはずなのに!




のろのろバスに苛立った。

急いでと言いたくなる。


バスに1時間揺られ、走って夕凪の病院に駆け込んだ。



時刻は午前11時。

看護師さんが、慌ただしく廊下を行き来していた。



長い廊下の奥、夕凪の病室に近づくと、すぐに異変に気付いた。



夕凪の怒鳴るような、吠えるような、大声が響いている。



「なんで切ったんだよっ!!
もう波乗りできないじゃねーかっ!!

俺が何したって言うんだ!
足を返せっ!!

プロサーファーになるんだよ!
夢を返してくれよっ!!

バカヤローーッッ!!!」