涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


泣きながら頷いた。

何度も何度も頷いた。


握りしめた手を胸に当て、
心の中で語りかけた。




夕凪、お願い、
戻ってきて……


待っているから、
私の側に戻ってきて……



もう一度、波に乗る眩しい姿が見たいよ……

青い海を背景に、二人で笑い合いたいよ……



私の隣には夕凪がいて、
夕凪の隣には私がいる。

そんな当たり前の景色の中に、
戻って来て……



夕凪…… 夕凪……

一生のお願いだよ……


生きていて……

私を一人にしないで……――――





心の中で夕凪に語り続けていた。


どれくらいの経ったのか、
時間の感覚がなくなっていた。



手術中のライトが、フッと消えた。


私も両親も、緊張してドアに注目する。



静かに開いたドアから中年の医師が出てきて、私達の前に立つ。


血のついた手術着と固い表情に、
鼓動がドクドク速度を上げた。