もし、夕凪が死んでしまったら、それは私のせいだ。
夕凪が死んでしまったら……
死んでしまったら……
恐怖から、悪い方へと考えが向いてしまう。
大粒の涙がボロボロこぼれて、
止まらない。
しゃくり上げて泣いていると、
母に頭を叩かれた。
「しっかりしなさい!」
と叱られる。
「夕凪は生きて戻ってくる。
お前が信じてやらないで、どうするんだ!」
父にも叱られた。
手術室前の廊下のベンチに、
3人並んで座っていた。
右横に座る母の顔を見て、
左横に座る父の顔を見た。
いつになく真面目な顔した父が、
優しく教えてくれる。
「夕凪は今、頑張っているぞ。
潮音のもとに戻るために、必死に頑張っているぞ。
応援してやれ」


