涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


手術中のライトが灯るドア前で、
小さくうずくまり、震えていた。


駆け付けてくれたのは、私の両親。



「潮音っ!」


父に名前を呼ばれ、母に抱きしめられ、

漂流していた心が、やっと現実に戻ってきた。



「夕凪が……
私を守ったせいで、夕凪が……」



涙がとめどなく溢れ出し、上手く説明できない。


後悔が津波のように押し寄せてくる。



夕凪がバイクの下敷きになったのは、私を守ろうとしたせい。


私が後ろに乗っていなければ、
夕凪なら、上手くかわしたことだろう。



私が後ろに乗っていなければ……


その前に、バイクで帰るのを止めていれば良かった……


馬鹿みたいに私がさらわれたりしなければ、夕凪を巻き込まずに済んだのに……



後悔し出すとキリがない。

自分を責めては苦しくなり、上手く息が吸えなかった。