涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


エンジンの不調を予想して聞いた。

学校まで持たないかも……
そんな答えが返ってくると思っていた。



それなのに返って来たのは、もっと深刻な答えだった。



「エンジンじゃねぇ。
ブレーキが壊れた。全く効かねぇ……」




夕凪はギアをローまで落とし、
減速を試みる。

それでも速度は下がらない。



運悪くこの道は、ずっと下り坂が続き、

速度は落ちるどころか、どんどん上がってしまった。



夕凪の背中から、焦りが伝わってきた。


走行中のブレーキ故障は、エンジントラブルよりもずっと危険。

命に関わる。



「どうしよう!」

と私がパニックになる。



「何とかするから、心配すんな。
潮音はしっかり、俺に掴まってろ!」