涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


「ごめんね……
私のせいで大事なバイクが……」


全てを言わない内に、頭にチョップを貰った。



「なんで潮音が謝んだよ。
お前のせいじゃねぇだろ」



「だって!」



「次謝ったら、怒る」



「うっ……」




まだまだ謝り足りないのに、
夕凪は謝らせてくれなかった。


夕凪を怒らせると本当に怖いから、謝罪の気持ちは胸にしまうしかないみたい。




夕凪がバイクにエンジンを掛けた。


ブルルと唸り出したエンジン音は、数秒して止まってしまう。



「ヤベェ、壊れたか……」



夕凪があちこちいじりながら、エンジンをかけ直す。


4回目でやっと、まともにエンジンが掛かった。



「ねぇ、大丈夫?」

と聞いてみた。

走行途中に止まったりしないか心配だった。



夕凪は何度かアクセルを吹かせてみて、「大丈夫だろ」と言った。



「学校くらいまでなら、持つんじゃねぇか?
後ろ乗って。行くぞ」




後ろのシートに跨がり、夕凪の体に腕を回す。


バイクがゆっくり車道に出た。


二人ともヘルメットがないから、いつもより慎重に運転してくれる。



「怖くないか?」「ちゃんと掴まってろよ」と、

途中で何度も声をかけてくれた。