涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


通り過ぎたばかりの交差点は、
信号が黄色から赤に変わった。



完全に巻いたと安心し、ピアス男が速度を緩めた。


その時、後ろにけたたましい車のクラクションを聞いた。



赤髪の男が後ろを向く。

私も首を捻って後ろを見た。



目に飛び込んだのは、

赤信号を無視して、交差点に突っ込む夕凪のバイク。



交差点は矢印信号に従い、右折車だけが走行していた。


柄シャツ男を振り切った夕凪は、
右折の車列の隙間を狙って、飛び込んで来る。


スピードを緩める気配はない。



その光景に私は、声にならない悲鳴を上げた。


心臓が止まり、全身の血液が凍りつくような恐怖を感じた。



夕凪は……

衝突ギリギリで車列と交差し、
無事にすり抜けた。