涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


“夕凪は悪い奴”

そんな雰囲気が出来てしまい、
皆、彼から離れて行く。



今までキャアキャア言っていた女子達も、

夕凪に構うのがいけないことであるかのように、離れている。



良く一緒にいた男友達2人は、夕凪が悪い奴だというよりは、

誘いに乗らないノリの悪さに、呆れて構うのを止めた…

そんな感じだった。




夕凪の金色の髪が、ドアの向こうに消えて行った。


お昼は一人で、どこかで過ごすみたい。


最近はいつもそう。


このクラスが居心地悪いと感じているのが、伝わってくる。




私の箸は止まっていた。

夕凪の消えたドアを見つめていると、加奈が優しく言った。



「潮音、貝原君が心配なんでしょ?」



「うん…」



「思い切って、話しかけてみれば?

大丈夫だよ、幼なじみだもん。
諦めずに…ね?」