涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


ギリギリまで寄せて、夕凪が怒鳴る。


「潮音を返せ!」



「面倒くせーな……」


ピアス男が嫌そうに呟いた。



赤髪の男は、後ろから私をしっかり抱えて、笑っている。


「面白ぇじゃん!
コイツがどこまで付いて来れるか、勝負しようぜ!」



ピアス男は乗り気じゃないけど、
赤髪の男はこの状況を楽しんでいた。


手にしている鉄パイプを、夕凪目掛けて振り下ろす。


殴られる手前で気付き、夕凪はバイクを傾け素早く避けた。



再び距離の開いた2台のバイク。

その隙間に、もう1台のバイクが入って来る。


それは、3人目の柄シャツ男が運転するバイクだった。


男は片足上げて、夕凪のバイクの側面を蹴った。



夕凪がよろけて、私は悲鳴を上げた。


ヒヤリとしたけど、夕凪は巧みにバイクの姿勢を修正した。