夕凪の背中は温かくて、体をくっつけると、安心して身をゆだねられた。
安心と同時に感じるのは、それとは逆の、ドキドキ高鳴る胸の鼓動。
今朝のバイク二人乗りは、とても幸せな時間だった。
同じバイクでも今は……
恐怖しか感じない。
「夕凪……」
そう呟いていた。
流れる景色に夕凪の顔を重ね、
涙の量がどんどん増えていく。
「夕凪…… 夕凪……」
呼び掛ける声が、徐々に大きくなっていく。
呼んでも来てくれないと、分かっている。
今頃夕凪は、パレードの真っ最中だから。
私がいないことに気付いても、
まさかこんな目に合っていると思わないだろう。
それでも夕凪の名前を呼び続けた。
バイクの爆音に負けないほどの声で。
「うるせぇ!」
と前からも後ろからも、怒鳴られた。
夕凪に会いたくて、堪らない。
恐怖から救って欲しくて、縋り付きたくて、
力一杯叫んだ。
「夕凪っ!!」
「潮音っ!!」


