涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


怒りと悔しさに震えていた体は、
今は恐怖に震えていた。



佐伯さんのターゲットは、
夕凪のバイクではなく、初めから私だった……


それにやっと気付いた時には、
もう遅い。



「ひどい……」



震えながら呟いた一言は、佐伯さんに笑い飛ばされた。



茶色の巻き毛を手の甲で払い、
彼女が言った。



「いい気味。私を怒らせるから、こうなるんだよ?

男3人に回されて、泣きながら後悔すればいいよ」




笑っている彼女の瞳は冷たくて、恐怖を感じた。


考え直してくれる気配は、微塵もない。


死刑宣告された気分で、足がガクガク震えていた。



「いやっ
やめてーっ!!」



叫びもむなしく、引きずられた。


乱暴に抱え上げられ、知らないバイクに乗せられた。



ハンドルを握るのはピアスの男で、
私を挟んで、後ろに赤い髪の男が跨がった。