それは色違いのメイド服。
私が着ているのは黒で、
これは紺色。
準備中の佐伯さんが、
「可愛い、私、これ着たい」
そう言って、自分でボタンを縫い付けていた衣装だ。
佐伯さんは、本当は最後まで文化祭に参加したかったのだろう。
そう思っていた。
紺色のメイド服を持ち、階段に向かった。
グラウンドから彼女が見えたのは、東階段の1階と2階の間の踊り場の窓。
今ならまだ、パレードに間に合う。
そう思い、急いで階段を駆け上がった。
そこに彼女の姿はなかった。
どこに行ったのか……
2階を見上げた私の耳に、足音が聞こえた。
足音だけじゃなく、啜り泣くような声も。
声のする方に走る。
2階フロアに足を入れると、廊下の真ん中に佐伯さんが立っているのが見えた。
顔を手で覆い、肩を震わせ、やっぱり泣いている。


