昨日のキスマーク体験の影響もあり、
吸血鬼の夕凪に、血を吸われているところを妄想してしまう。
不純な考えの私と違い、夕凪は真面目な顔で耳打ちしてきた。
「佐伯が来てる。気をつけろよ」
その言葉で妄想は消し飛んだ。
休みだと思った佐伯さんが、遅刻して来たみたい。
キョロキョロと見回しても、うちのクラスの列にはいなかった。
夕凪が小さな仕草で、校舎を指差す。
指の先を辿ると、1階2階の間の、階段の踊り場の窓、
そこに佐伯さんの姿が見えた。
窓は開いている。
俯いてジッとしていた佐伯さんが、両手で顔を覆った。
その仕草は泣いているようで、
驚かされた。
「夕凪……
佐伯さんが、泣いてる」
「自業自得だろ。
悪巧みのあげくに、係まで放り出して。
今更パレードに参加したいと言っても、許さねぇよ。ふざけんな」


