涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


黒いメイド服の衿を詰めている加奈が、

「あれ?」と不思議そうな声を出した。



「どうしたの?」


針を止めた加奈に聞く。



「潮音の首、痣があるよ?
ニキビじゃないみたい。虫刺されにも見えないし、これって……」




加奈の指先が触れたのは、昨日夕凪に付けられたキスマークだった。


ハッと気付いて、急いで片手でキスマークを隠した。


その行為が、反って痣の正体を教えてしまった。



加奈が顔を赤くして、慌てて言った。



「き、気付いてごめん!
付き合ってるし、そういう事もするよね。

あ、違うの!別に嫌みじゃなくて、貝原君は手が早そうな気がしてたから……

ああっ!私何言ってるんだろう!

想像してたわけじゃないから!」




夕凪がキスマークなんて付けるから、加奈に誤解させてしまった。


私達はキスより先の事をしていない。


手が早くはないと思う。

そんな雰囲気を感じたこともないから。



夕凪と自分の弁護のために、
恥ずかしさを我慢して小声で言った。



「夕凪とは……
えっと、まだしてないから……」