涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


主人に殺され古い洋館をさ迷う、メイドの幽霊。

それが今日の私の役割。



加奈は、着替えている女子の間を駆け回る。


針と糸を手に、サイズの微妙な調整までして、プロのスタイリストみたい。


私の所にも来て、衿周りが大きいと、生地を詰めて縫い始めた。



「潮音、動かないでね」



「うん。加奈って凄いね。
将来、こういう道に進むの?」



「どうかな。やりたい気持ちもあるけど、ファッション業界で成功するのは厳しいよ。

そこまでの情熱と才能もないから、趣味に止めておくのがいいかも」



「ふーん」




私なら褒められると調子に乗って、
「じゃあファッションデザイナーになる!」
と言ってしまいそう。



これだけの技術を持っていても自慢せず、

冷静に自分を見ている加奈が、
すごく大人に見えた。