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5月末、初夏を感じる暖かい風が吹いていた。
ブレザーを脱ぎ、長袖ブラウス1枚でちょうど良い気候。
軽装の生徒たちが増えてきた。
昼休みの教室は賑やかだ。
それぞれ仲の良い子と机を付けて、お弁当を広げる。
私も加奈と一緒に、お昼を食べようとしていた。
加奈はワクワクした目を、私のお弁当箱に向ける。
私のお弁当の中身に期待の目を向ける理由は、“キャラ弁”だから。
蓋を開けると、今日のご飯はうさぎ型。
薄ピンクのご飯に、ハムやノリで顔が作られている。
うさぎの周りには、花形の卵焼きや、人参やピーマンの蝶が飛び、
殻を被ったヒヨコみたいな、うずらのゆで卵が可愛いかった。
夢一杯でメルヘンなお弁当を、
「今日も可愛いね!」
と加奈が褒めてくれた。
私は苦笑い。
もう高校生なのに…
と言いたい気持ちになる。


