先生に怒られて、皆は急いで玄関に駆けて行く。
上條君は夕凪の肩を叩き、
「ごめん」と謝ってから、掃除に向かった。
人のまばらになった廊下で、私はヘナヘナと座り込んだ。
夕凪とまた離れてしまうと思った恐怖が一気に抜けて、放心状態だ。
座り込む私の前に、夕凪がしゃがんだ。
優しい目で、口元は少し笑って、
こう言ってくれた。
「なに焦ってんだよ。
潮音だけは信じてるって、言っただろ?」
「うん……
ありがとう……良かった、本当に良かった……」
ポロポロと流れる涙は、嬉し涙。
浮気現場のような写真を見せられても、夕凪は私を信じてくれた。
その気持ちが嬉しくて、涙が止まらない。
私の頭を撫でてくれる夕凪の手が、ピタリと止まった。
その手は髪を滑り、私の首筋に触れた。


