夕凪が溜息をついた。
「お前さ、そのエネルギーを、別のことに向けろよ。
他人イジメて得る物って、何があんだよ。くだらねぇな。
今日は許してやるけど、反省しろ。
次、潮音に何かしたら、今度は壁じゃなく、お前の顔ぶん殴るから」
佐伯さんは、顔を歪めた。
夕凪の言葉に怖がるより、思い通りにならない怒りの方が強いみたい。
心底憎いといった視線を私に流し、
夕凪に背を向け歩き出した。
文化祭係の他の二人は、慌てて佐伯さんを追い掛けていた。
クラスメイト達は、夕凪が格好良かったとか、修羅場を見たかったとか、
好き勝手、感想を言い合い笑っている。
そこに担任の先生がやって来た。
「こら!掃除はどうした?
1-Dは正面玄関の掃除。
早く行け!」


