涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


夕凪が制服のポケットに両手を突っ込んだ。


冷たい視線で佐伯さんを見下ろし、説明した。



「お前がハメたんだろ?

あの写真、潮音は困った顔で、上條は驚いた顔してた。


暗くて狭い場所で密着させられたら、ああなるよな。

上條の気持ちは知ってるし、スゲェ妬けるけど、今回だけは目をつぶる。


もう1枚は、潮音の背中をお前が突き飛ばして、ああなった。

そんな所だろ?

カメラ構えて狙いやがって……
まじムカつく」




夕凪は言い当ててしまった。


佐伯さんは、唇を噛みしめている。


彼女の中ではきっと、夕凪と私が揉めると期待していたのだろう。


思い通りに展開せず、悔しそう。



悪びれる素振りはなく、

アイラインをばっちり引いた目で、
夕凪を強く睨み返していた。