涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜

 


写真は破かれてしまったけど、
夕凪はしっかり見ていた。


クラス全員が、見てしまった。


佐伯さんは同調を得ようと、クラスメイトに視線を向ける。



「みんなも、朝比奈さんが悪いと思うよね?」



問い掛けられ、ザワザワするクラスメイト達。


夕凪は馬鹿にしたように、鼻で笑った。


佐伯さんが、眉を潜めた。



「何なのよ……
彼女に裏切られて、随分余裕だね。八つ当たりしてるの?」



「八つ当たりじゃねぇ。
裏切られてもいねーし」




騒がしい廊下が、静かになった。


2枚の写真から、クラスメイト達は、私を黒だと思っていた。


その中で夕凪が言った
「裏切られていない」との言葉に、

皆の興味が向いていた。