その理由を聞いて、夕凪は警戒を解いた。
渡辺さんはそそくさと、逃げるように水飲み場から出て行った。
写真係がいることに、夕凪が気付かなかったのは無理もない。
「自然体を撮りたいね」
文化祭係の3人がそう話しているのを、チラリ耳にした。
渡辺さんは声を掛けずに、皆を写して回っていたから、
夕凪の他にも、気付いていない生徒が大勢いそうな気がする。
ハンカチで手を拭きながら、
夕凪に言う。
「すぐ怖い顔したらダメだよ?
渡辺さんは、真面目な理由で文化祭の写真を撮っているのに」
正論を言った私に、呆れた視線が降り注ぐ。
「お前って、お人好しだよな。
あいつら、潮音の悪口ばっか言いやがって、警戒すんのは当然だろ」
「そ、そうかも知れないけど……」
「ったく。何かされたら、すぐ俺に言えよ」
「うん……」


