「ゆ、夕凪!
ダメ! ここ学校だから!」
濡れた手のまま、慌てて夕凪の胸を押した。
唇のケチャップが舐められる前に、カシャリと背後にシャッター音を聞いた。
振り向くと、カメラを構えたクラス女子が一人、立っている。
佐伯さんと一緒に文化祭係をやっている、渡辺さんだ。
渡辺さんはカメラを下ろして、
笑顔を向けた。
「二人はいつも仲いいね。
じゃれてるところ、撮っちゃった」
今まで楽しそうにしていた夕凪が、スッと笑みを消した。
切れ長の瞳を狭め、声を低くして聞く。
「撮った写真を、どうする気だ?」
夕凪の敵意を感じ、渡辺さんが取り繕うように慌てて説明した。
「変なことに使わないよ!
私、写真係なんだけど。
準備中からクラスの写真撮ってるの、気付かなかった?
文化祭の想い出に、後でプリントして皆で見ようと思って」


